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長崎大学大学院医歯薬学総合研究科口腔腫瘍治療学分野

長崎大学病院周術期口腔管理センター

梅田正博

このたび第12回日本口腔ケア協会学術大会を、2016年11月6日(日)長崎ブリックホール国際会議場において開催させていただくことになりました。本大会開催の機会をいただきましたことに、理事長はじめ役員各位および会員の皆様に心より感謝と御礼を申し上げます。

 

 大会のテーマを「口腔ケアは次の未来へ」としました。これには二つの意味が込められています。「口腔ケア」という言葉は医療・介護関係者だけではなく、広く社会に浸透してきました。しかしその正確な意味が認知されているとはいえないと感じています。口腔ケアには医師、歯科医師、看護師、歯科衛生士、言語聴覚士、介護福祉士、ケアマネジャーや介護福祉の支援に関わるリハビリスタッフなどが携わっています。本人や介護者がするべき口腔ケア、看護師がするべき口腔ケア、歯科医師や歯科衛生士がするべき口腔ケアについて、未来に向けてもう一度考える必要があります。これが一つ目の意味です。

 もう一つの意味は、口腔ケアの標準化とエビデンスの検証です。歯科の世界ではこれまでう蝕と歯周病という二大疾患の予防、つまり歯面や歯周ポケット内の微生物のコントロールについて取り組んできました。しかし同様の手法が高齢者の誤嚥性肺炎の予防やがん患者の合併症の予防にはたして有効でしょうか? それぞれの病態に応じてどのような口腔ケアを行うのか適切か? そしてその効果は検証できたのか? この「口腔ケアの標準化とエビデンス検証」が未来の口腔ケアに向かって重要であると思います。

 

 今回の学術大会では二つのシンポジウムを用意しました。一つ目は「抜くべきか 抜かざるべきか それが問題だ」と題して、周術期口腔機能管理の際にしばしば問題になる抜歯の適応について、信州大学の鎌田孝広先生、関西医科大学の兒島由佳先生、神戸大学の長谷川先生の3名の新進気鋭の先生にご講演をいただきます。その後、会場の皆様とともに、具体例を呈示しながら抜歯/非抜歯の議論をしたいと考えています。

 二つ目は「「地域包括ケアと歯科の役割」と題して、医師の立場から長崎市医師会の藤井卓先生、看護師の立場から鹿児島大学の宇都由美子先生、ケアマネージャーの立場から大町由里先生、歯科医師の立場から長崎大学の鮎瀬卓郎先生、そして厚生労働省の立場から歯科医療専門官の小嶺祐子先生にご講演をいただきます。地域包括ケアの現状と将来、そして歯科の役割について第一線でご活躍中の演者の先生方とともに考えていきたいと思います。これら二つの企画を通して、施設や職種を越えて、次の未来につながる口腔ケアのあり方について議論が深まればと願っております。

 

 長崎は江戸時代には国内唯一の貿易港出島を持ち、外国への玄関口として発展してきた港湾都市です。遠くからお越しの方はぜひ早めに長崎入りをして、その素晴らしい自然と美味しい食べ物をご堪能ください。多くの皆さまのご参加を心よりお待ち申しております。

 

 

ご挨拶

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