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患者さまへ 診療内容について

嚢胞

●嚢胞とは

 嚢胞とは医学的には「上皮細胞に裏装された空洞内に腺などによる液体が貯留して袋状になったもの」と定義されますが、顎口腔領域では顎骨の中にできる嚢胞と、軟組織中にできる嚢胞があります。顎骨内嚢胞で最も多いのは、歯根の尖端に発生する歯根嚢胞です。

 これはう蝕に罹患し歯髄に細菌感染をきたした歯の歯根尖が慢性の炎症を継続した場合に発生する嚢胞です(図1)。この嚢胞の治療法は、嚢胞摘出手術と同時に原因歯の治療を行うことが多く、嚢胞が大きな場合には嚢胞摘出と同時に原因歯を抜歯する必要があります。

図1 歯根嚢胞

 歯根嚢胞についで発生頻度の高い顎骨内嚢胞に含歯性嚢胞があります。これは、形成過程中のエナメル質に関連した上皮から生じるものとされ、嚢胞の壁に埋伏歯の歯冠部を含むのが特徴です。乳歯から永久歯への歯の交換期である7~15歳あるいは智歯萌出時期である20歳前後で発見されることが多いですが、自覚症状があまりない場合は中年以降に判明することもあります。

 治療法は若年者では開窓を行いその歯の萌出を待ちますが、成人の場合は嚢胞摘出手術と埋伏歯の抜歯を行います(図2)。

図2 含歯性嚢胞

 軟組織に発生する嚢胞の中で最も頻繁に見られるのが粘液嚢胞です(図3)。原因は口腔小唾液腺の流出障害により粘液が貯まってしまうことによると言われています。非常に柔らかい腫脹なので、簡単に破れてドロッとした内容液が出て見た目上は膨らみが無くなりますが、短期間でまた同部位に発生します。

 治療法は摘出手術またがレーザー照射を行うますが、外来局所麻酔下で可能で、10分程度で終了します。

図3 粘液嚢胞

 粘液嚢胞と同様唾液が貯留することによる嚢胞の中で、舌下腺という大唾液腺が原因で生じるものをガマ腫といいます(図4)。これはその名のとおり外見がカエルの腹に似ているためにそう呼ばれています。通常は40歳代以下の片側の口底部に、数cm程度の青みがかった透明感のあるドーム状の腫脹として現れます。

 治療法は初回治療としては外来局所麻酔下で嚢胞の開窓療法が行われますが、約半数で再発がみられます。再発した場合には全身麻酔下で舌下腺摘出術を行います。

図4 ガマ腫

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