長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科
展開医療科学講座 口腔腫瘍治療学分野
Department of Clinical Oral Oncology, Unit of Translational Medicibe,
Nagasaki University Graduate School of Biomedical Sciences
長崎大学病院 口腔外科
Department of Oral Surgery, Nagasaki University Hospital
患者さまへ 診療内容について
外傷
●口腔顎顔面外傷
口顔面はいろいろな原因で外傷を受けやすい部位で、大きく分けると①顎骨の骨折、②歯の外傷、③軟組織の外傷の3つに分けられます。交通事故をはじめ、作業事故やスポーツ外傷、さらに転倒やけんかなどが主な原因となります。
●Ⅰ.顎骨の骨折
<症状>骨折部の痛みや腫れがあげられます。また、出血による皮膚や粘膜の変色や顔面の変形、咬合(噛み合わせ)の異常とそれに伴う咀嚼障害などがあげられます。治療:顎骨骨折の多くは入院の上、手術が必要です(図1)。
図1 下顎骨骨折(チタン製プレートで固定された例)
術前 術後
手術では、骨折してずれた骨を正しい位置に戻して、金属プレートや吸収性プレートあるいは金属線で固定します。もう1つの方法として、骨折部が癒合するまで上下の歯を噛み合わせた位置で上顎と下顎を固定する方法(顎間固定)があります。手術を行った場合、術後早期に口から食事をとることができますが、顎間固定では2~4週間は口を開けることができず、その間は流動食の摂取となります。
当科では、患者さん個々の状態そして希望に応じた早期の咀嚼機能回復および社会復帰を目指し、手術療法を積極的に行っています。
Ⅱ.歯の外傷
<症状>強くぶつけたりしたことにより歯が動揺したり、抜けかけた(亜脱臼)あるいは完全に抜けた状態(完全脱臼)となります(図2)。
<治療>
歯が欠けただけであれば、通常の歯科治療で対応可能なことが多いのですが、亜脱臼や脱臼した場合は固定する必要があります。完全脱臼した歯は、生理食塩水あるいは牛乳に浸した状態でお持ち下さい。再生着する可能性が高くなります。できるだけ歯を保存する処置を行いますが、残念ながら破折位置や条件が悪い場合は保存不可能な場合があります。
図2 完全脱臼
Ⅲ.軟組織の外傷
<症状>
受傷時にはかなりの出血がみられますが、太い血管を直接損傷しないかぎり、圧迫や時間経過とともに止血するのがふつうです。一方、腫れや痛みは時間経過ともに強くなります。
<治療>
まず清潔な布やガーゼで傷口を圧迫して止血を行います。そして消毒後、縫合します。傷のなかには異物が混入していることもあるため、縫合の前には精査が必要です。土で汚染された傷では,破傷風を予防するための処置を要すこともあります。